第62章

『葵、疑いあり』

車内。モニターには、藤原家実家の口座照会記録が表示されたままだ。

『Y市二十年前重大失踪事件関連人物リスト』

『葵、疑いあり』

春はその文字列を睨みつけたまま、しばらく毒づくことすらできなかった。

最近、悪態のストックを消費しすぎて、ボキャブラリーが底をつきかけているのだ。

和也は車列の二台前の車に乗っている。彼から着信があったが、葵は出ずにメッセージに切り替えた。

和也:『そのファイルにはまだ触れるな』

葵はそれを読み終えると、スマホを伏せて膝の上に置いた。

春が冷笑する。

「藤原さん、今になってずいぶんと情報セキュリティに目覚めたらしいな」

葵はシ...

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